一つ前の日記へ一つ前 |  目次   | 次へ次の日記へ

のぼみ~日記 2025

2025/01/28

テレビライフTBS出入禁止事件

テレビライフへの寄稿が終了したことは前回書いたけれど、その後、noteに昔のことなどちょこっと書いたので、こちらにも転載しておこうかな。

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵
昨年12月25日発売の号に載った連載ミニコラム『ちゃんと見てるよ』を最後に、40年以上続いたテレビライフでのお仕事が終わった。
『ちゃんと見てるよ』だけでも30年続いた。なぜまだこのコラムが続いているんだろうと不思議でしょうがなかった。
これで連載のお仕事はすべてなくなり、完全に自由の身というか、放置老人(痴呆老人ではない)になった。身軽になったような、いや、どよ~んと老体の重さだけが残ったような、複雑な気分。

20代後半、ビクターでデビューアルバム録音中にデュオ解散。(これに関しては今でも呪いがかかったように夢でうなされる。完全に「嵌められた」と思っているけれど、結局は自分の責任もあったと認めざるをえないから、振り返りたくないし、恨みは持たないようにしている)
結婚したばかりだったので、なんとか仕事を見つけなければならず、英語の学習書の執筆編集と並行してテレビライフでのアンカーマン(最終ライター)を始めたのだった。
テレビライフが創刊する前の準備段階から編集部に出入りしていたから、大人になってからの人生のほとんどの時間、関わってきた。なんでこんなに続いていたんだろうと、ほんとに不思議。

創刊号ではいきなり「表紙のタモリの顔CG無許可事件」「巻頭グラビア不適切キャプションによるTBS出入禁止事件」というのを起こした。
巻頭グラビア不適切キャプション事件(別にそういう名称が付いていたわけじゃないけど)というのは、桃井かおりが天井から吊されたマイクに向かって、両手を口の脇に添えながらアフレコ?している写真に、「まるでアレをしているように見えるだろ? そういう風に書き直せ」と編集長から書き直しを命じられて、「無理があるし下品だよなぁ」と思いつつも、仕方なく書いたライターは、何を隠そうこのあたしだ。
それがTBSを激怒させて「テレビライフは出入禁止」となった。
編集長命令で書いたので、あたしには何のお咎めもなかったどころか、その話を聞いたのも少し後だった。「え? あれ、タクちゃんが書いたの?」と、事情を知らない編集者たちからは驚きと同情の声が……。
初代編集長は「テレビライフはテレビ誌のFOCUSになる!」と檄を飛ばしていて、何をまあ勘違いしていたのだろうと思うわけだが……そんなことを知っているのも、今ではあたしだけだろうなあ。

アンカーマンだけでなく、タレントや有名人のインタビューもやれと言われたときは、一度は断った。本来なら自分がインタビューされる側だという自負があったから。でも、押しきられて、いろんな人のインタビュー記事も担当した。
アイドルとかは回ってこない。大物(樹木希林、三波春男、岡本太郎、笠智衆……)と、あとはお笑い系(柄本明、シティボーイズ、たけし軍団、竹中直人、清水ミチコ……)が中心。「希林さんは離婚したばかりで難しいからタクちゃんしかいないでしょ」みたいな感じで、難しそうな人は必ずおはちが回ってきた(←これ、死語かな)。
今思えば、貴重な経験をさせてもらえた。

↑大物へのインタビュー記事の一つ 1985年4月

『狛犬ガイドブック2 狛犬の歴史と種類』販売開始!


ずいぶんかかったなあ。いつから作業し始めたんだろう。
日記を読み直してみたが、始めたときの記述はなかった。今年に入ってからかな。だったらひと月はかからなかったのか。
この手のカラー写真だらけの本は、作業のほとんどは写真選びとその補正、レイアウト……という、文章書き以外の部分に費やされる。
古い写真は小さな紙焼きしか残っていない。それをスキャナーで画像ファイルにしてから、IrfanViewやPhotoshop Elementsであれこれといじる。ほとんどは全体を明るくして、狛犬の表情が分かるようにシャープにするという手順。ものすごく疲れる。そんなのを450枚もやったのだな。

今回の本は、既刊の『新・狛犬学』と重複する部分も多いので、できるだけ今まで使っていない写真を入れようとしたのだが、どうしても欠かせない狛犬というのもあって、そのへんは重複してしまう。
本に入れていない狛犬写真を探しているうちに、「なんだこれ?」という段ボールの小箱が出てきた。
A4のカードに狛犬の小さな紙焼き写真が貼られていて、神社名などがメモしてある。そういうカードが200枚弱。
そうそう、ずいぶん前に新潟の知らないかたから突然メールが来て、寄贈されたものだった。

父親が撮った狛犬の写真が200枚弱ある。紙のカードに貼って整理してあるのだが、有用なものでしょうか? 生かす可能性があるかどうかご検討いただけないか、……といった内容だった。そのカードの写真も添付されていた。

↑添付されていた写真

遺品整理をしていて困っているのだろうと推測がついた。少し悩んだが、「いただけるのならお送りください」と返事をしたのだった。

その後のメールで、やはり、先月亡くなったばかりの父親(新潟県考古学会員、新潟県文化財保護指導委員もされていたとか)の「遺品」ということが分かり、いろいろな思いを重ねながら拝受した。

遺品整理はうちでも苦労した経験があるので、「持っていてもどうにもならない、でも、捨てるのが忍びない」ものが出てきたときのモヤモヤはよく分かる。
それでも、ネットで「狛犬研究」とか、そういうキーワードで検索して私のことを知り、メールで連絡を取り、荷物を発送する……という手間を考えただけでもかなり面倒なことだっただろう。普通、そこまで丁寧にやっていたら遺品処分はいつまで経っても終わらない。

今回、そのかたが撮った写真も何点か使わせていただいた。
写真が小さいし(いわゆるサービス判よりも少し小さい感じ)、逆光で真っ黒だったり、頭の一部が切れてしまっているようなのもいっぱいあったので、選ぶところから相当苦労した。
それでも、狛犬好きの先輩の遺志に少しだけ応えられたような気がしている。

今回は表紙をクリア加工にしてみた。マットのほうが落ち着くんだけれど、持ちはこのほうがいいのかな


『狛犬ガイドブック Vol.2 狛犬の歴史と種類』

平安時代後期に始まった公家狛犬(獅子・狛犬)から、武家狛犬~民間狛犬(旦那狛犬、村狛犬の併存)~護国狛犬、という流れを約450点のカラー写真画像を使って易しく、具体的に紹介する、ちょっと細かい(?)狛犬入門書。
狛犬ガイドブック Vol.2 狛犬の歴史と種類
A5判・98ページ Amazonでご購入いただけます。1518円(税込)⇒こちらから



脚!

2025/01/30

Winter Song

狛犬本はもうこれで最後と決めたので、残りの人生、何をしていけばいいのかと考える。
自分だけを相手にして、いちばん困難なことをやろうと思えば、音楽なんだろう。
声が出なくなってもEWIでメロディは吹ける。やれることはどんどん劣化していくから、みっともない姿を晒すことになるけれど、何もしないで死ぬまで元気に、なんてのも嫌だ。
今の社会で、自分の音楽が受け入れられることはもはやない。
最も孤独で、辛い作業。

でも、言葉を尽くして何かを訴えても、何も変わらない、何も返ってこない社会なら、あとは死を見つめながら、自分としっかり向き合うことしかないように思う。


悩みながら、これをYouTubeにUPしたら、スペイン語で「世界中からアクセスできるYouTubeなんだから、字幕は英語にしろ」というコメントがついた。
うん、それは前から思ってはいたんだけれどね。それにどれだけの意味があるんだ、どうせ届かないんだから……とも思ってしまって、結局はそこまではやらなかったのよね。
でも、歳を取ると素直になるので(逆の人もいっぱいいるけれど)、英語の字幕を入れたバージョンも作ってみた。
UPした後で気がついたけれど、2番の「Even under the frozen soil, a small life breathes」は、「small lives」と複数形にすべきだったかな。
文章と違って、詞を英訳するのは難しいし、それでいいのかどうか、全然自信が持てない。
でもまあ、これもひとつの「一人に向かって」かな。







Amazonで購入   Apple Music   My Sound   Line Music
『いろはうた たくき よしみつ SONGBOOK3』発売♪ ほとんどの配信サイトから試聴&購入できます


           



更新が分かるように、最新更新情報をこちらの更新記録ページに極力置くようにしました●⇒最新更新情報
シェア用ボタン↓
Facebook   Twitter   LINE



一つ前の日記へ一つ前 |  目次  | 次へ次の日記へ


Kindle Booksbooks    たくきの音楽(MP3)music    目次へ目次    takuki.com homeHOME


Google
nikko.us を検索 tanupack.com を検索