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のぼみ~日記 2025

2025/04/25

明日、4月26日は東京湾付近で地震が発生して30m級の津波が首都圏を襲うという予言の日。日にちを限定したこの手の予言が当たった試しはないが、近々大災厄が襲ってくるんじゃないかという予感は数年前からずっとある。
そんな不安が漂う2025年、米の価格が馬鹿みたいに上がって、一向に下がらない。昨日も買い出しに出たついでにスーパーの米売り場を覗いたが、コシヒカリが5kgで4200円(税抜き)とかになっている。10kgなら税込9000円ではないか。
ところが、海外ではこれより安い価格で日本産のブランド米が売られているというので、ネット上にはその証拠写真やら、現地の日本人からの投稿やらが出回っている。
以下↓はSNSからの拾い物写真。

日本のスーパーでも今はこんなに豊富な品揃えはできない

下の段に積まれているのは5kg(11lbs)の袋。大体3000円前後の価格表示がされている。日本よりずっと安い



古米なのかと思ったら、ちゃんと昨年産。日本語のみが印刷された袋なので、日本で精米、袋詰めされたもの

これでも「米騒動」が起きない令和の日本

なぜこんなことになっているのか?
ライターの窪田順生氏は「国が50年以上減反政策を続けてきた結果、補助金や優遇策なしでは農家が生きていけなくなったから」と言っている。
「減反政策」を50年以上続けて日本のコメ農家はどうなったかというと、補助金なしで1人で立つこともできぬほど衰弱した。会社員をやりながらコメをつくる「兼業コメ農家」が増加した結果、日本産のコメの国際競争力は地に落ちた。世界では牛肉や小麦など自国の主要農産物を戦略的な輸出物資とするのが常だが、日本のコメ輸出量は約4万5000トン(2024年)。タイの2024年のコメ輸出量は約995万トンだ。
(略)減反政策がコメ農家の「世界で勝負する気力」を奪ったのだ。
 大規模農業や輸出に挑戦するコメ農家を冷遇し、コメづくりを控えるコメ農家に補助金をばら撒いた。つまり、多額の税金を費やして「頑張らないほうが得をする」という方向に日本のコメ農家を誘導した。よく「コメ農家は時給10円」と言われるが、そういう状態を招いたのは、コメ農家を補助金漬けにしてしまったからなのだ。
「頭じゃなくて米価を下げろ」農水相謝罪に国民から猛ツッコミ!…それでも政府が「コメ高騰政策」を平然と続けるワケ 窪田順生 Diamond Online

 では、そんな非力な農家が青息吐息で作っている米が、日本で米不足が叫ばれている今、アメリカなどで安く売られていて、日本人は日本の米が高すぎて買えず、カリフォルニア米などを買わされているのはなぜなのか?

国は「食料自給率・食料自給力の向上や米農家の所得向上を図っていくためには、海外市場に積極的に進出し、輸出を拡大していくことが喫緊の課題」として、米の輸出に補助金を出している
その政策によって、一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輸)というものが作られている
「減反すれば補助金」と同じように、「輸出米として作れば補助金」ということらしい。

農水省のWEBページより(Clickで拡大)
主食用米の需要が減少する中で、主食用米から国産需要のある作物(麦・大豆、高収益作物、子実用とうもろこし)へ作付転換を促し、食料安全保障に資する品目の産地形成を図るため、畑地化等に向けて、実需者との結びつきの下で、水田における麦・大豆、高収益作物、子実用とうもろこしの低コスト生産等に取り組む生産者を支援します。
本事業は申請内容を踏まえて審査し、予算の範囲内で支援対象者が決定される交付金事業です。


2.コメ新市場開拓等促進事業
(1)事業の概要
需要拡大が期待される作物を生産する農業へと転換するため、実需者との結び付きの下で、新市場開拓用米、加工用米、米粉用米(パン・めん用の専用品種)の低コスト生産等に取り組む生産者を支援します。
交付単価:新市場開拓用米 4万円/10a、加工用米 3万円/10a、米粉用米(パン・めん用の専用品種) 9万円/10a
(令和7年産)畑作物産地形成促進事業及びコメ新市場開拓等促進事業について 農水省WEBページより


専業農家さんが、今回の騒動について説明してくれた。
補助金を受けるための契約申請は6月末で締め切られ、買い取り価格だけでなく、出荷量なども決められているため、その後にどれだけ国内の米価格が上がろうとも、輸出米は国の補助金付きで安く買い上げられ、輸出される、という。
だから、今、海外で売られている米を作った農家には、現在の米価格高騰の「恩恵」はない。大損をさせられたという怨念が残るだけで、今年、輸出米(新市場開拓用米)の契約をする農家はないだろう、とも。

また、輸出された製品は「国外消費」なので、自動車のように生産にかかる消費税が還付されるのだろうか? 農業の場合はどうなっているのかも気になる。
いずれにせよ、国内需給がどうなるか分からない前に輸出米だけを幾ばくかの補助金をつけて別枠で「先買い」し、何がなんでも輸出に回すという施策がおかしい。

輸出米への国からの補助金は10アールあたり4万円らしいが、1アールあたり4000円では大した額ではない。
その程度の補助金でももらわないと米を作ってもまったく儲からないということ自体に問題があるわけで、まずは、農家が米を作って生活できるように根本的な施策をしなければ駄目だろう。
こんなとんでもない農政を続けている国に対しても、国民は黙っている。
大正時代の米騒動は、政府がシベリア出兵を決めたことで物資価格上昇を見込んだ業者が買い占め、売り惜しみをしたことが原因だとされている。暴動を鎮圧するために軍隊を出した寺内内閣は批判を受けて倒れたのだが、令和の米騒動は起きそうもない。(暴動を起こせと言っているのではない。念のため)

「貧乏人は麦を食え」は、1950年の第三次吉田内閣の蔵相・池田勇人が国会答弁で言ったことだが(正確には「所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則にそったほうへ持って行きたい」)、今はまさに貧乏人は米を食えず、パンだの麺類だのの小麦粉製品にますます切り替えていくことになってしまっている。しかし、小麦は国内受給率は10%台で、ほとんど輸入に頼っているわけで、このままでは「国防」の観点からも亡国路線まっしぐら、ということになる。
↑国内の小麦自給率 (農水省のWEBページより)
これからは国内の農業保護に使う金は「国防費」と言い換えて、食料自給率を上げることが最大の国防なのだというPRを積極的に行っていくべきだ。


           



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