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のぼみ~日記 2026

2026/02/05

ちょっと考えれば分かることなのに


今年の2月は1日が日曜日なので、カレンダーではきれいに四角形を作っている。
普通はこれを見て、ふう~ん、と思うだけだが、ネット上ではこれを、「日曜~土曜がすべて4回ずつ並ぶ2月は823年に一度の奇跡の月」だなどという戯言が結構拡散されているという。
閏年以外の2月は28日で、7で割り切れるんだから、各曜日がすべて4回ずつなのはあたりまえ。閏年以外の1年は365日で、7で割ると52あまり1。つまり52週と1日で、翌年の元日は前年より曜日が1日ずれて始まるから、来年(2027年)の2月は月曜日から始まる。
2028年は閏年なので、2029年の2月は前年より2日分ずれた木曜日から始まる。
……これを繰り返すから、日曜日から始まる2月は何年かすればやってくる。前回は2015年にあったし、次は2032年、その次は2037年、2043年、2054年……とある。
ちょっと考えれば子どもでも分かることを、その「ちょっと考える」こともせずに「すごい! 823年に1度だってよ」と拡散してしまう大人が結構いるということだ。
これは「823年に1度」というフレーズに魅力を感じて、検証もせずに飛びついた結果といえる。(それにしても、どこから823という数字が出てきたんだろう?)

これは極端な例だけれど、「ちょっと考えればおかしいと分かること」「冷静に考えれば疑問がどんどんわいてくること」を、考えることをせず、そのまま受け入れてしまう人がいっぱいいる。

高市政権と近衛政権

今回の衆議院議員選挙は、開票前から絶望的な結果が見えていて、それこそ考えるのも嫌になる。

高市政権が戦前の近衛政権に似ていると思うのは私だけだろうか。
近衛内閣は第一次~第三次まであったが、 ……という内閣だった。
政治が機能せず、国を動かしていたのは実質、軍部。
そんな中で、第一次近衛内閣では日中戦争を激化させ、第二次近衛内閣のときに日独伊三国同盟を締結した。
近衛政権が終わったときはすでに時遅しで、日米開戦~前線では餓死・病死・玉砕の連鎖~沖縄人柱で壊滅~原爆2発も落とされて……という悪夢の道へ。
南京陥落を伝える新聞。日本中でお祭り騒ぎになり、デパートでは大売り出しが行われた。現地で何が起きていたのかを知っていたのは現場にいた兵士たちだけで、ほとんどの国民は敗戦後まで何も分からなかった。
こうした歴史をしっかり学ばない人たちが、高市政権を容認している。
50年後、100年後に、高市政権はどのような歴史的評価を受けているだろうか。それを選んだ日本国民は、どう思われているだろうか。

結局「ちょっと考えれば……」をせずに、なんとなく「これが好き」とか「これは嫌い」といううわべの感情で思考を固めてしまう人が大多数を占めているのが今の日本社会。その中で潰されないように生きていかなければいけない。

女系天皇拒否論の裏にある「宗教」


選挙の大きな争点にはなっていないが、ここに来てまた「女性天皇を認めろ」とか「女性天皇はいいけれど女系天皇はいかん」「女性天皇からは女系天皇しか生まれないから、男系でも女性天皇はダメだ」などという論争が起きているようだ。
これまた論点そのものが偏狭で、ため息しか出ない。

そもそも、皇室という特定の家族にだけ選挙権が認められていなかったり、養子をとれなかったり(皇室典範第九条 天皇及び皇族は、養子をすることはできない。)、結婚相手を自分だけでは決められなかったり(皇室典範第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。)、日本国民すべてが認められている自由を奪われているという現状は議論されない。
天皇は「職業」ではないから、職業選択の自由がないのは問題にならないという論を吐く人がいるが、天皇や皇太子が「パン屋になりたい」「美容師になりたい」「大相撲の力士になりたい」、あるいは「政治家になってこの国をよくしたい」などと思っても事実上なれないのだから、「職業選択の自由がない」。

ちなみに天皇の「公務」は、内閣総理大臣・最高裁判所長官の任命、国務大臣その他の官吏の任免認証、国会の召集、国会開会式への出席、法律や条約の公布、栄典の授与、大使の信任状認証、国内外の来賓の接受、皇居内での皇宮祭祀(儀式)などなど、膨大だ。これらの事項についての閣議決定の書類を閲覧して署名捺印する件数だけでも令和6年は1033件に上ったという(宮内庁WEBサイトより)。
こんな激務をこなしながら、ストレスが溜まっても一人でふらっと近所に買い物に出かけたり、温泉に浸かりに行ったり、飲み屋で馬鹿話に盛りあがるなどということも、実質できない。そんな生活を死ぬまで続けなければいけないことを、我々「一般人」はどこまで実感できるだろうか。
現行天皇制についての議論をするなら、まずはそうした想像力を働かせた上で臨まなければ、それこそ不敬だろう。
「よその家」のことだから一切口をはさまないよ、というならまだしも、皇族としての品位がどうのとか、皇族としての責任感がどうのといった論評はせっせと行う。なんとまあ無責任かつ冷酷なことか。
政治家や企業経営者の世襲は批判する人が、皇室のこととなると「男系の血が途絶える」などとムキになるのも理解できない。

中には「愛子内親王が習近平の息子と結婚したら、生まれてくる男子を日本の天皇として認めていいのか?」なんてことを言う人まで出てくる。(じゃあ、悠仁親王が金正恩の娘と結婚して生まれてきた男子は男系男子だからいいのか……というIFと同じ。要するに論理破綻の感情論)

「女性天皇と女系天皇の違いも分かっていない馬鹿が口を挟むな」という人もいるので、一応ここで確認しておくと……、

↑こういうことだ。
「皇室典範第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」

現状では愛子内親王は「男系の女子」なので天皇にはなれない。「女性天皇」を認めたとしても、女系は認めないとなれば、敬宮愛子天皇が誕生して、子供が生まれても、その子は天皇にはなれない。

なぜ「男系」だけなのかという理由は、「神武天皇から続く万世一系男系の血」が途絶えるからということらしい。(神武天皇のさらに前をたどっていくと、女神とされる天照大神に行き着くけどね)
神話の話にまでなってきても、こういう理屈は「トンデモ」だとはみなされない傾向にあるのも不思議な話だ。
ちなみに、記紀に記されているお話では、神武に象徴される大陸からの移民は、すでに先行していたニギハヤヒ系の渡来人政権や、日本各地でこじんまりまとまっていた地方政権や原住民集団を武力制圧(神武の東征)したグループ。
日本書紀第7巻には第12代景行天皇の即位や天皇軍による熊襲や土蜘蛛といった原住民グループの武力掃討について書かれているけれど、謀略、虐殺、裏切りなど、現代人が読めば非道極まりないやり方が詳細に書かれている(『真・日本史(1)p.29)。
そういう武闘派の祖先を敬い、「男系の」家系を尊重するというのは、権力者側の性格としては分かりやすいともいえるだろうか。

科学的、あるいは生物学的にいえば、遺伝情報は両親からもらっていくのだから、男系、女系という分け方で遺伝的な優劣などは起こらない。(一部の遺伝病などで、父親から、母親からのほうが受け継ぎやすい、みたいなことはあるかもしれないが)
人格的にどんなに優れた両親からもサイコパスや馬鹿者は生まれるし、その逆もある。
むしろ、決定要素が「世襲」だけというリスクの大きさを考えないのだろうか? 

天皇機関説ならぬ天皇機能説

女性天皇を認めず、男系だけで天皇の系譜をつないでいくためには一夫一婦制では無理で、複数の側室を用意する必要があるという理屈も、かつてはあたりまえに通っていた。これは天皇を一つの「機能(ファンクション)」としてとらえているからだ。
天皇というファンクションは国の根幹として絶対必要なものである⇒それを持続するための側室制度もまた、継嗣の母親は健康な子宮として「機能」すればよいという考え。
そうした「機能」としての天皇観では、天皇一家の「家族愛」とか、天皇個人の人生哲学といったものは無視されている。天皇の継嗣は生まれたらすぐに乳母に育てさせるなどという慣習があったのも、天皇を「国家の機能」として見ていることの表れだ。
毒殺された疑いが濃い孝明天皇や、偽の「錦の御旗」を立てて東北にまで攻め込んで行った「官軍」の例を持ち出すまでもなく、幕末から昭和10年代にかけての天皇は、政治的な道具として利用され続けた。「国体」としての天皇を唱える者たちこそが、天皇の名を借りて権力を操ることに執着し、天皇個人の人格や個性に思いを寄せなかったという意味では、最も「不敬」な者たちだったのではないか。

一方、「女性天皇を認めないのは差別だ」という主張にしても、「根本問題として、この国の天皇制ってどうなのよ」という議論をすっ飛ばしている。
天皇は存在しなければならない、存在してあたりまえ、尊いものだという思いこみが先にある。そうした「尊い存在」に女性がなれないと規定することは女性差別だという思考回路。男性女性という前に、一人の人間、人権を持った個人として尊重する気持ちはないのですか? と問いたい。

要するに日本の天皇制というのは、国の運営という場面では政治に利用されやすい道具であり、一般国民にとっては国家的宗教なのだ。
政教分離と言いつつ、皇室典範にはしっかり「宗教」が記されている。
国民はその宗教に安住し、自分たちが背負えないものを天皇家に押しつけている。
今の天皇家が背負わされているものの大きさ、重さ、苦しさ(しかもそれらを一言も漏らすことはできない)を想像したら、軽々しく女性天皇を認めるか否かなどという議論を始められないと思うのだが。

時々想像してみる。
もしも敗戦時に天皇制が廃止されていたら、日本国民はGHQ相手に暴動を起こしたのだろうか、と。
マッカーサー万歳、ギブミーチョコレート、教科書黒塗りがすんなりと進んでいったあの時代、どれだけの人が「天皇制をなくすなんて冗談じゃない」と声を上げ、立ちあがっただろうか。
暴動を起こす人たちは一定数いただろうが、多くの人たちは平穏な生活が戻ってくることを最優先に考えたと思う。
それを分かった上で、日本を精神的に支配するには天皇制を残したほうがいいと判断したアメリカは、1枚も2枚も上手だった。天皇という「機能」を十分に研究し、利用したといえるだろう。

コンクラーベで選ぶ天皇?

まあ、ここでどれだけ「そもそも論」の理屈を重ねたところで、現行の天皇制は当面変わらないし、国民の大多数は皇室が存続することを当然ととらえている。
今、無理に手をつけることは現実的ではないし、混乱を招くだけだろう。

それでも「改善策」は絞り出せる。
例えば、今の憲法はそのままで、皇室典範を改定し、
という方法。
「主権の存する日本国民の総意」が、どうしても天皇家が必要だとするのであれば、血統によらない天皇制を模索して法律を作る努力をすればいい。
皇族が養子縁組してもよいということにすれば「世襲」の解釈を広げられるから、ローマ法王を選ぶコンクラーベみたいな方法で天皇を選べばいい。その場合も、憲法の「第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」にはギリギリ矛盾しないんじゃないか。
それでもなり手がいなくて、天皇が不在になり、自然消滅しても、それはそれでいいではないか。
憲法では「第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあるが、「天皇は存在しなければならない」とは書いてない。
★現行憲法にこだわるのは、今の日本には憲法を「改正」する(よりよいものにする)理性的な能力があると思えないからだ。

多分、そういう事態になったときは、国全体が「別にどうでもいい」という、無気力でけだるい空気に包まれているような気がする。
そんな社会が来るとしたら100年後くらいか。その頃、日本が国としてまともに生き残っていれば、の話だが。

まあ、天皇制云々は別にして、日本という国が、このままじわじわと痛めつけられ続け、多くの日本人がただの労働力として、文句も言えずに利用されるだけの社会になる可能性は大きい。
すでにそうなってきている。

今は戦前なのか戦中なのか?
こんな時代にも、なんとか残りわずかとなった人生を生きていかなくちゃ……と、大きく息を吐いて、耐えがたきを耐え、投票所入場葉書が届かないまま、期日前投票をしてきた。(住所、氏名、生年月日を書いただけで本人確認が終わった)
3日後には絶望のどん底に落とされることが決定的だから、今から心の準備をしておかないと……。



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