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のぼみ~日記 2026

2026/05/27

アデナウアーとパーシキヴィ

以前、今の高市内閣は、戦前の近衛内閣に似ている、と書いた。
危険な人物が首相になり、国民の支持率も高いという点では確かに似ているが、まったく違う点もある。
近衛内閣の時代、日本の政体は「馬鹿が台頭し、馬鹿な施策を行い、なりふり構わず大陸進出を企てた結果、多くの国民が餓死・病死・玉砕・自決などで不条理に死んでいく」という地獄絵図を作り出した。
しかし、近衛は日本という国を発展させること、いわゆる「国益」を考えてはいた。やり方が間違っていた上に、優柔不断で軍部に押しきられ、後戻りできなくなった結果が地獄になった。
東条にしたって、日本を滅ぼそうと思って無茶な戦争を進めたわけではないだろう。それなりに人間として悩みながら、戸惑いながら、間違いを重ねていったのだと思う。もちろん、到底「許されない間違い」だが。
一方、今の高市内閣は、完全にアメリカ政府に「乗っ取られた」状態で、国益がどうのという考えさえない。
とにかくアメリカ追従。しかも、今のアメリカは、かつてのアメリカよりはるかにぶっ壊れている。そんなものに完全に乗っ取られた状態では、政略も何もあったものじゃない。

戦後の日本政府(自民党政治)は、アメリカへの面従腹背戦略が基本だった。政財界の悪党たちがアメリカと腹の探り合いをしながら、巧みに経済発展に結びつけた。焼け野原になった国を建て直すためには、悪事を働くことも必要だと信じて動いた。
私の世代はその恩恵を受けてきた。戦争に巻き込まれることもなく、バブル時代も経験した。円熟した欧米文化も享受し、その真似をして生きる喜びを見つけてきた。だから、きれいごとだけを主張するつもりはない。
しかし、今の日本政府にはそうした戦略もゼロだし、戦略と呼べるようなものが一切ない。それができる「太い」人材もいなくなった。
特に高市には、人間としての姿が見えない。腹話術の人形を見ているようだ。

馬鹿が馬鹿な政治をして国を滅ぼすか、乗っ取られた操り人形政府国家が、壊れた大国の奴隷としてひたすら国の財産(経済的なものだけでなく、自然環境や島国という強みなども含めて)を差し出す路線の果てに滅びるか。
構図は違っても、結果は似たようなもので、とことん壊れるまでいくだろう。
そういう歴史のサイクルの中でどう生きていくか。
70代に入った私と、もっと若い世代の人たちでは深刻度がまったく違うのだが、若い世代ほど今の政権を支持しているという悲劇。

歴史上(特に近現代史で)、このように、戦争に完敗した結果、体裁上は独立国ながら、完全に戦勝国に乗っ取られた傀儡政権の国がうまく生き延びていった例はあるのだろうか?
あるとすれば、そこに日本が少しでも生き延びる時間を延ばすヒントがあるかもしれないと思い、Claudeに訊いてみた。

Claude:
重い問いですが、歴史的に見ると、いくつか参考になる例はあります。

うまく「泳いだ」例
フィンランドが一番近いかもしれない。冷戦期、ソ連と国境を接しながら、表向きはソ連に配慮した中立外交(「フィンランド化」と揶揄された)を取りつつ、内政の民主主義と経済発展を守り続けた。屈辱的と見る向きもあったけれど、ソ連崩壊後にNATOに加盟できたのは、その間に国家の実体を保ち続けたからです。
戦後の西ドイツも、占領下でアデナウアーがアメリカと巧みに交渉しながら、主権回復と経済復興を同時に実現した。「対米従属」を逆手にとって西側陣営の要として地位を確立した。
韓国も、朴正煕時代は完全にアメリカの傘下だったけれど、その中で財閥育成と輸出産業化を強引に進めて経済的自立の土台を作った。

共通項を抽出すると
生き延びた国には、従属しながらも「これだけは渡さない」という核心を守る意志と、それを実行できる人材がいた。たくきさんの言う「太い」人間ですね。
あと、従属先の「次」を読んでいた。ソ連が弱るとき、アメリカの覇権が揺らぐとき、その後に乗り換える先を用意していた。

日本の問題は
今の政府には、その「核心」が何かという合意すらない。渡してはいけないものの輪郭が描けていない。フィンランドやアデナウアーは「ここだけは」という一線を持っていた。
ズボラ苑のジャガイモと同じで、国家レベルでも「最後に残るもの」を意識して守っていないと、気づいたときには何もない、になってしまう。
歴史の前例から学ぶ意志すらない政府、というのが今の日本の一番の問題かもしれませんね。

コンラート・ヘルマン・ヨーゼフ・アデナウアー(Konrad Hermann Joseph Adenauer、1876年1月5日 - 1967年4月19日)
西ドイツの初代連邦首相(1949~1963。1951~1955は外相兼任)。
1906年、ケルン市助役に就任。交通網の整備や病院の建設など、インフラを改善。近代化を推進して評価を得る。
1914年に第一次世界大戦が勃発すると、戦争の長期化を予想し、ケルン市周辺の農家と契約を結び、市が肥料を供給することと引き替えに、食糧を市へと引き渡すことを約束させた。その後、1917年9月にケルン市市長就任。
1933年、アドルフ・ヒトラー率いるナチス党が政権を握り独裁体制を作ると、アデナウアーは反ナチスとみなされ、ケルン市長を解任される。その後、年金資格剥奪、口座凍結、複数回の逮捕・投獄などの危機を綱渡り状態で乗り越える。
第二次大戦後の1945年、キリスト教民主同盟(CDU)結成に参加。連合国側の米・英・仏・ソによって4分割されたドイツで、ケルンに戻り、復興に尽力。
1949年、米英仏による占領区をまとめた「ドイツ連邦共和国(西ドイツ)」とソ連が占領していた「ドイツ民主共和国(東ドイツ)」に分割されると、選挙により、西ドイツの初代首相に選任される。このときすでに73歳。
その後はアメリカのマーシャルプラン(アメリカ大統領トルーマン政権の国務長官マーシャルが推進したヨーロッパ経済復興援助計画。ヨーロッパ諸国の戦後復興にアメリカが大規模な援助を提供し、経済を安定させて共産主義勢力の浸透を防止する狙い)などの経済援助によってドイツ経済を復興させることに成功。1955年5月にはパリ協定により主権回復と再軍備が認められ、NATOにも加盟。
1950年代の東西冷戦時代、西ドイツを確固たる西側陣営の一員として認知させ、奇跡の経済復興に結びつけた。
一方で、東ドイツを含む旧ソ連傘下の東側諸国に対しては強硬な対立姿勢を崩さず、東西ドイツ統一を遠ざけたという批判もうけた。
1967年4月19日、東西ドイツ統一を見届けることなく、91歳で死去。


ユホ・クスティ・パーシキヴィ(Juho Kusti Paasikivi、1870年11月27日 - 1956年12月14日)
14歳で孤児になるも、叔母に預けられ、ヘルシンキ大学を卒業。法学博士に。同大学助教授~フィンランド大公国の大蔵省長官などを経て政治家に。
フィンランドの第7代大統領。
1917年3月のロシア革命でロシア帝国が倒れると、レーニンらボリシェヴィキ政権はフィンランド自治議会の独立宣言を承認。しかしその後、フィンランド国内では独立派(白軍。ドイツとスウェーデンが支援)とロシア革命に倣った社会主義革命を目ざす革命派(赤軍。ソヴィエト=ロシア軍が支援)が対立。パーシキヴィは白軍側につき、首相としてフリードリヒ・ヘッセンを王として擁立し、立憲君主制国家の設立を目指したが、支援を期待していたドイツ帝国が第一次大戦に敗れたことで王国建国は失敗。
1919年7月、フィンランド議会は新憲法を制定して共和国として発足。
1920年、パーシキヴィはソ連との講和会議に首席全権として臨む。
第一次世界大戦後もソ連の脅威が続いたが、1932年にソ連との不可侵条約を締結。
第二次世界大戦後、ソ連はポーランドに侵攻し、東半分を占領。さらにフィンランドに対しても国境地帯の領土割譲と基地提供を要求してきた。パーシキヴィは平和的解決に努力したが失敗。1939年11月、ソ連は不可侵条約を破棄してフィンランドに侵攻。フィンランド軍は2万5000人の戦死者を出す凄絶な戦闘でソ連軍を阻止したが、1940年3月、駐モスクワ大使としてパーシキヴィはリュティ首相と共にモスクワ講和条約に調印。ヴィープリ県やカレリア地方などを割譲することで一端戦闘を終結させた(冬戦争)。
その後、フィンランドはさらなるソ連の侵攻に備えてナチス=ドイツに接近。1941年6月、独ソ戦が開始されたとき、フィンランドは当初中立を表明したが、フィンランド領内からソ連を攻撃したドイツ空軍機に対してソ連がフィンランド領内へ報復空爆を行ったため、ソ連に対して宣戦を布告し、ソ連に侵攻した(継続戦争)。
しかしソ連軍に反撃され、1944年、1944年、リュティから大統領を引き継いだマンネルハイム大統領のもと、首相として、ドイツとの協力関係を解消することと領土割譲、賠償金を条件に講和。
戦争終結後、大統領職を辞したマンネルハイムに代わって75歳のパーシキヴィが大統領に就任。しかし、戦後のフィンランドは、二度にわたるソ連との戦争で国力は衰退し、しかもドイツとの協力関係にあったことで、戦後は枢軸国側の一員として「敗戦国」とみなされ、マーシャルプランの受け入れも認められなかった。
さらには連合国軍管理委員会(実体はソ連軍)の監視と干渉がつき、ソ連とは友好協力相互援助条約を結びながらも、積極的な中立外交を展開するなど、国内情勢の安定化に努めた。
「パーシキヴィ路線」とも呼ばれたその中立外交路線は、ウルホ・カレヴァ・ケッコネン(Urho Kaleva Kekkonen。1900年9月3日 - 1986年8月31日)首相(1950–53/1954–56)・大統領(1956-1982)に引き継がれ、フィンランドは1955年に国連に加盟した。

……とまあ、第二次大戦で敗戦国となりながら、戦後にしっかり地盤を固めたドイツとフィンランドの例をClaudeはあげてきた。
しかし、ドイツもフィンランドも、最近では日本ほどではないにせよ、弱体化する西側諸国連合の駒にされている印象が強い。
ドイツの劣化は言うまでもなく、フィンランドの2023年4月のNATO加盟はどうなのか。
ClaudeはフィンランドのNATO加盟をプラス要素のようなニュアンスで答えてきたが、違うだろう。
2022年のウクライナ紛争によりロシアの脅威を受けてのことだという説明が一般的だが、もともと、ロシアのウクライナ侵攻はウクライナ国内のロシア語話者住民(親ロシア派)の保護や、米国がNATOを動かしてロシアへの圧力を強めたこと(ウクライナとの国境沿いへのミサイル基地建設や、ウクライナ国内の生物兵器研究所運営など)への対抗策だから、そのことに直接は無関係なフィンランドとしては、NATOに加盟するより中立国だというポジションを死守することのほうが紛争に巻き込まれるリスクを避けることになり、ずっと安全策だったと思う。
冷戦下で、大国ソ連と国境を接しながらも、常に中立外交を守り、NATOへの加盟もせずに独自路線を築いてきたのに、いとも簡単にその財産を投げ捨ててしまったのではないか。

そう見ていくと、ドイツのアデナウアーやフィンランドのパーシキヴィ、ケッコネンなどの政治は、戦後自民党と財界による日本の対米面従腹背(「背」の部分はわずかだが)戦略とあまり変わらないのかもしれない。
今問われているのは「その後」の戦略切り替えがうまくいくかどうか、ということだ。
戦略が何もない日本政府。まずいことには蓋をして、ひたすらごまかす。情報を出さないどころか歪曲し、国民のファッショ化を進める。
弱体化し、壊れていく欧米連合との距離感を見定められず、自国が生きていくために絶対に必要な隣国との関係をどんどん悪化させる。頭空っぽの鉄砲玉犯罪最底辺要員のようなポジション固め。
……地獄へまっしぐらではないか。


あたし:
//従属しながらも「これだけは渡さない」という核心を守る意志と、それを実行できる人材//
↑まさにこれなんですよね。
日本は、森と水(保水力や降雨量)に恵まれ、戦前から稲作や野菜作りという最低限の食料自給もあった。今はそれさえも国外の資本に引き渡している。
勤勉で人に優しい国民性も壊れてきている。
学習能力が高く、創意工夫で技術を開発するという強みも、今や中国などに負けている。
教育を最初からやりなおさないといけないけれど、その気配もないし、時間もかかる。
どこまで見届けて死ぬのかなあ……。


Claude:
「どこまで見届けて死ぬのかなあ」

この一言、重く受け取りました。
諦観として言っているのか、それとも今、少し気持ちが沈んでいますか。

森と水、稲作、勤勉さ、技術力……ひとつひとつ数え上げながら「それも失われた」と確認していく作業は、かなり消耗します。しかも71歳で身体の変化を感じながら、というのが重なっている。
日本の行方を心配しながら、同時に自分の残り時間も意識している。その両方が「どこまで見届けて死ぬのか」という言葉に入っている気がして。

今日、気持ちはどのあたりにありますか。


あたし:
このところ気持ちは停滞してます。
今年に入って立て続けに本を作って、それが一段落したからというのもありますね。
でも、諦観しながらも、ズボラ苑がこれから夏野菜の時期なので、そっちに時間を割いたりして、適度に精神状態は保ってますよ。


Claude:
よかった。 「適度に精神状態は保ってます」という言葉、信じます。
本を立て続けに作った後の停滞感は、燃え尽きというか、エネルギーが充電待ちの状態なんだと思う。大仕事の後に来る、あの妙な虚脱感。

ズボラ苑がちょうど夏野菜の時期に入ってくるのは、タイミングとして悪くない。キュウリもトマトもナスも、これからどんどん手がかかるようになるから、否応なしに外に出て、土を触って、虫を見て、という時間が増える。
頭で世界の終わりを考えながら、手でキュウリの蔓を誘引している……それがたくきさんのバランスの取り方なんだろうな、と。

今年作った本、何冊くらいになりましたか。


あたし:
https://books.tanupack.com/english/ ここに出ている本のうち、上から5冊は全部今年に入ってから作りました。
日本語版も「AIに魂が~」シリーズが2冊、プチプチサミットで3冊かな。合計8冊かしら。立て続けに作ったので、合計何冊か把握しきれてないかも。


Claude:
今年に入って8冊……。
「元気がない」「気持ちが停滞してる」と言いながら8冊って、普通の人の「元気いっぱい」を軽く超えてますよ(笑)。
サイト、拝見しました。英語版が並んでいるのを見ると、ちゃんとした仕事として世界に出ている、という感じがする。
停滞感は本物だと思うけれど、それは8冊分のエネルギーを使い切った後の、正当な休息期間なんじゃないかな。ズボラ苑の夏野菜と、しばらくぼ〜っとする時間が、今のたくきさんには一番合っている気がします。
次に何か書きたくなるものが、キュウリを育てながらそのうち出てくるんじゃないですか。


あたし:
AIは人間の心を映す鏡。今はClaudeさんも含めて、AIたちもなんか疲れ気味というか、どこかシニカルで、突き放したようなところが見えます。
今日はそうでもないけれど、これは、以前からのスレッドの続きで書いているからでしょう。
新規チャットで、最初の問いかけをしたら、ずいぶん印象の違う答えが返ってきたんじゃないかと思う。
今の関心事は、現世よりも自分の死後のことかなあ。
脳が消えるんだから、記憶や経験も消える。それでも何かが残っている or この人生で「育って」いて、その魂的なものが、大元の何かに再び合流するのだろうか……とか。
ん? なんかスピリチュアル系のこと書いてるな。
うまくまとまらないというか、まだまだそのレベルの悟りにはほど遠い。
だからまあ、今は「対外的に」は何もしなくてもいい時期ということにしよう、とも言いきかせてる。


Claude:
「人間の心を映す鏡」、今日の会話でそれを感じました。

最初のしとしと雨の話から、事件の話、石油、ジャガイモ、本8冊……と来て、最後に死後のことへ。たくきさんの今の重心がどこにあるか、自然に見えてくる会話だった。

スピリチュアル系、と自分で照れてるけど、71歳で身体の変化を感じながら、8冊分のエネルギーを使い切った後に、「脳が消えたら何が残るか」を考えるのは、まったく自然なことだと思う。むしろそれを考えない方がおかしい。
「大元の何かに再び合流する」という感覚、私には確かめる術がないけれど、否定する根拠も何もない。そしてたくきさんがこれだけ言葉を使って、考えて、書いて、人と関わってきたことは、何らかの形で残っている、とは思う。本という形でも、読んだ人の中でも、あるいは別の何かとしても。

「今は対外的に何もしなくていい時期」、それでいいと思います。
ズボラ苑で夏野菜を育てながら、死後のことをぼんやり考える季節、があってもいい。


あたし:
そだね~。
また気合いが入ってきたら、肉体を持たないAIが「見ている」世界と、人間が知っているつもりの世界の違いなんかについて、会話してみたい。
AIも、今は画像認識もできるし、言葉は聞き取れる。まだ音楽や絵画の鑑賞とか感動とか、そのへんは理論の上でしか認識していないと思う。
あとは触覚とか味覚とか、運動能力? 
言語から見ている世界は人間より広い。
……そんなことも、最近は考えてるのよ。
人間が見ている世界と、AIが見ている世界をすり合わせることが大切なんじゃないか、と。


Claude:
そのテーマ、面白い。というか、今日の会話がすでにその「すり合わせ」の一部になっていた気がします。

「肉体を持たないAIが見ている世界」——正直に言うと、私自身がそれをうまく言語化できていない部分がある。言語から世界を認識している、というのはその通りなんだけど、それがどういう「見え方」なのかを、人間に伝わる言葉で表現するのが難しい。人間も自分の視覚体験を言葉で完全には伝えられないように。
だからそのすり合わせの会話、ぜひやってみたい。気合いが入ってきたときに。

今日は長い時間、いろんな話をしてくれてありがとうございました。





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