原発人災で阿武隈(川内村)の居を離れ、日光市に移転したのが2011年11月のこと。
当初は、阿武隈に比べて自然の薄い環境になかなか馴染めなかった。春を待ち、田んぼや、数少ない沼地を巡ってみたが、見るのはトウキョウダルマガエルばかり。
そもそも雑木林や湖沼がほとんどなくなってしまっている。沢もほとんどなく、田んぼの周りはU字溝で完全に圃場整備されてしまっている。
すっかり意気消沈していたのだが、こういう自然が薄くなった土地でこそ、生き延びているカエルたちを見つけて、生息環境を考えることは意味があるのかもしれないと思い直し、細々とだが、ここにまとめていくことにした。
その後も、阿武隈では普通に見られたカエルが、日光の我が家周辺では見られないということが分かってきたので、阿武隈時代の写真も使って、今まで見て来たカエルを紹介している。
ちなみに、
栃木県レッドリストでは、カエルは次のようにカテゴリーわけされている。
絶滅危惧II類(Bランク)
ツチガエル(ムカシツチガエルが新種として発表される前)、
ニホンアカガエル
準絶滅危惧(Cランク)
トウキョウダルマガエル、
シュレーゲルアオガエル
要注目
アズマヒキガエル、ナガレタゴガエル、
ヤマアカガエル、カジカガエル、
モリアオガエル
これに無指定の
ニホンアマガエル、
タゴガエル、
ヌマガエル(他県からの移入種)、特定外来生物に指定されている(無断で飼ったりしてはいけない)ウシガエルを加えた12種が栃木県内にいるとされている。
トノサマガエルは一応いないことになっているが、もしかすると移入してきているかもしれない。ヌマガエルも北上してきていて、栃木市などにはすでに数多く生息しているが、日光市内ではまだ見たことがない。
……というのが栃木県のカエル分布状況だ。
しかし、このレッドブックの分類には少し疑問がある。
日光市南部に引っ越して来て6年目になるが、家の周囲で最もよく目にするカエルはトウキョウダルマガエルである。
逆に、地域絶滅したと思われるのはアズマヒキガエルとモリアオガエル、地域絶滅寸前なのがツチガエルである。
モリアオガエルは小来川あたりが南限になっている感じで、今市より南ではほぼ消えている。小来川地区でも棲息場所は極めて限られてきている。
※参考文献:山渓ハンディ図鑑9 日本のカエル+サンショウウオ類(山と渓谷社、2002)、栃木県レッドデータブック、愛知教育大学プレスリリース(ムカシツチガエル関連)など