2012/12/03の2

川内村へ冬支度に(承前)


さて、我が家へ。

家へ続く道は、聞いていたとおり、「除染」で砂利がきれいに敷き詰められていた。
川から先の道はうちの土地で、私道なのだが、その先にはきよこさんちがあり、うちの土地を通らないと家に出入りできなくなっている。
大雨のたびに道が荒れ、その度にスコップで道普請をしてきた。奥のきよこさんのところは、足腰が弱って歩くのがやっとのきよこさん(80代)が一人暮らし。長男(僕らと同世代)から電話で、「除染作業のとき、道に砂利を敷いてもらおうと思うけれどいいか」と訊かれた。
うちが「敷地内一木一草伐るな」と、除染拒否宣言をしているため、気を使ってのことだ。
「いいですよ」と答えた。
税金を使って自分の土地の道を直すというのは気が引けるが、奥で一人暮らしをしているきよこさんのことを考えれば、道が荒れたままではまずい。ぼくらがここで暮らしていたときには道の補修も僕らがやれていたが、不在になって心配していた。どうせ使う金なら少しでも役に立ったほうがいい。

こんな風に、村のあちこちでは「除染」名目で、ちょこちょこといろんな作業をしてもらっている。
あの木の枝が前から邪魔だったのよね。ついでに伐ってくれる? とか、どうせならオマケしてこっちまで砂利しいてよ、とか、砂を敷いてよ、とか、そういうノリだ。
おかげであっちこっちで「◎◎さんちはものすごくきれいになったねえ」「リゾート地みたいだよ。お宅もやってもらえばいい」といった会話が交わされる。
もっとずっと汚染度が高い福島市や郡山市の市民が聞いたら激怒しそうだ。
でも、これが30km圏の実態なのだ。もはやこれに関して、僕はいちいちいいとか悪いとか、怒ったり嘆いたりする気力さえわいてこない。
だからこそ黙って村を出て行ったのだ。

ちなみに奥のきよこさんは、除染で玄関前の段差が変わり、今までの感覚で外に出たところ躓いてしまい、背骨と肋骨を折る大怪我を負っていた。それで、もともと足腰が弱っていたところに、ほとんど寝たきりのような生活になってしまった。
なんとも皮肉な話で、言葉もない。

これも「除染」の費用で行われた


土色の道が好きだったが、まあ、そのうち落ち着くだろう


奥のさとうさんちも、周りの木を伐ったのでよく見えるようになった。今までは見えなかったのだが


うちの前の雑木林は無事


ぼくらが引っ越して来た2005年正月のピンチに続き、また伐採を免れた雑木林


おそらくこの張り紙は除染作業員たちの神経を逆なでしたことだろうが……


何百枚と撮ったこの角度からのショット。今はなんとも虚しい


庭側の雨戸が20cmほどこじ開けられていた。中を覗こうとしたらしい


マツモ池。ここに日がさすように、栗の木を伐るつもりでいたが、それは来年自分でやる


山葵池に降りていく斜面


土手池と弁天池。普通なら今頃来年に向けて改修作業をしているはずだが……


今年初めてモリアオガエルが産卵した雨池。来年はどうなることか

除染作業員が捨てていった空き缶が家の周りにいっぱい散らばり、雨戸が少し開いていた。中を覗こうとしたらしい。
除染に限らず、以前から、公共事業の現場では、作業員が引き上げていくと後は必ず空き缶だらけになる。
そういえば、ここに来て驚いたことはたくさんあるが、農家の人が、自分の田んぼや畑に平気でたばこの吸い殻を捨てるのを見たときは驚いた。ひとりふたりではなく、みんなそうだと知ってさらに驚いたものだ。
そういうところも、どうしても馴染めない「田舎の姿」。
家の周囲に散乱している缶コーヒーの空き缶を見ながら、またため息。

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