2013/01/21

飯舘村の菅野村長と会う

「構想日本」というNPOに呼ばれて上京。飯舘村の菅野村長と一緒に公開フォーラム。
新鹿沼まで助手さんに送ってもらい、東武線の特急で北千住へ。都内に入ったときはもう夕方。まだあちこちに雪が残っているのに驚いた。日光のうちあたりよりよほど都内のほうが降ったんじゃないだろうか。
今いる場所は、雪は本当に少ないのだなあと改めて思う。
越後時代は桁違いだったとしても、阿武隈よりも確実に雪は少ない。

フォーラムはまあまあ?だったのではないだろうか。
菅野村長は「徹底的な除染」に期待している。
気持ちは痛いほど分かるけれど、「除染は無理だ」と僕ははっきり言った。
村に風車を建てるなどとも言っているので、やめたほうがいいですよ、と、これも進言したが、ほとんど聞く耳持たずという感じで、こちらもそれ以上議論をするつもりにはなれなかった。
原発人災を受ける前の飯舘村の輝き、そこに住む人たちの立派な生き方、真面目な姿勢を知っているだけに、あの村の美しさ、気高さをこれ以上ゴミの持ち込みや自然破壊で汚してほしくないと切に願う。
大量の青いフレコンバッグに積めた土砂や木片を谷に埋めても、そこにあの青いバッグは気の遠くなるような時間、ゴミとして残る。セシウムの放射能が消えてもゴミとしてずっと残る。そんなものが埋められた土地に、未来の世代を呼び戻すよりは、今ある森を自然保護区にでも指定して、美しいまま守り抜いたほうがずっといい。
人間の浅はかさへの警告を発する聖地として、不可侵な聖域として「飯舘」という場所を守り続ける一方で、飯舘ブランドを日本各地に伝え、飯舘の精神を広め、未来の世代に受け継いでもらう。……そういう「日本人がこれからあるべき姿・シンボルとしての飯舘」を築いていく、守っていくという仕事なら、とても意味があり、やりがいがある。
……菅野さんならそのリーダーとして存分に力を発揮できるはずだし、ぜひそうしてほしい。……そういういうことを言ったのだが、村長には外の人間が冷たいことを言っているとしか受け取られなかったようだ。
自分が生まれ育った土地、今まで実績を積み上げてきた場所への物理的な執着の強さというものを改めて思い知らされた気がした。
それはそれで否定しようがないし、簡単にどうこう言えることではないので、それ以上の論争は避けたいという気持ちが働く。おそらくバリアを張られたまま終わってしまうだろうし……。

一方で、飯舘だけでなく、破壊された土地や人心に踏ん切りをつけた人たちも多い。
川内村から佐渡に渡って二宮いちを始めた出戸さん夫妻。出戸さん夫妻に誘われて、やはり佐渡で再出発をした小塚さん夫妻(川内村で「きのこ里山の会」を主宰していた)、あるいは長野県に移っていったみれっとファームなどもそうだが、自分たちの残りの命の長さを考えたとき、あるいは、福島で何が起きているのかを実際に目の当たりにしてしまった今、これ以上命をすり減らして「元の村に戻すために……」とはとても言えない、と決断する人たち。
みんなの意志がある程度まとまった方向に力強く働くなら余生をかけてみる価値があるが、今の福島はなかなかそうはなっていない。外から入ってくるものを今まで以上に無分別に受け入れ、その日暮らしの金の計算で終わってしまうような毎日。果ては、村が一種無国籍の飯場のようになっていく。
そんな状況の中で、人間関係や強大な組織、権力、利権構造と向き合い、すり減っていくだけの余生など、とてもじゃないが勘弁してほしい……という気持ち。
僕もそういう気持ちだし、そう考え、すでに行動を始めている人たちのエネルギーをうまくまとめて、これから先もっと広げていくことを考えたい。
一人一人の自主的な行動、生き甲斐を込めた生活の先にこそ本当の復興・復活はあると思うからだ。
気が遠くなるほど大変だし、絶望的になりがちだけれど、それしかない。



こんな感じだった 


もし1Fが品川火力発電所の位置にあったら……という例の図を示して説明


「までい」の語源を菅野村長が説明しているところ


「除染」問題などについては噛み合わず、議論を深めるには時間も足りなかった



夜、主催者が用意してくれたホテルの窓から都心の夜景を見た。
ここは自分が生活する場所ではないなあと思う。
どこか外国に来たような気持ち。
でも、住んでいる人たちという意味では、田舎のほうがつき合いやすいわけではない。都会には多様な価値観の人たちが暮らしている分、気が楽だということもある。
いずれにせよ、今の自分は「幸福」かどうかは分からないが、少なくとも「幸運な」生活をしていると思う。
経済的な打撃を受けたし、カエルと一緒に暮らす生活もなくなってしまった。でも、今まで以上に仕事をしようという気持ちが生まれているし、毎日やることがあり、明日やりたいことがある。
ありがたい。

ホテルの窓から見た夜景。左手は皇居。こんな場所で一夜を過ごすことはもう二度とないかもしれない


スカイツリーにすっかり東京のシンボルタワーの座を奪われた感があるが……

2013/01/22



一夜明けた。どんよりくもり。
チェックアウトは10時だが、10時にバナナブックスのI氏が『狛犬かがみ』の改訂新版出版の相談のためにやってくるというのでロビーで待ち合わせ。
『狛犬かがみ』は在庫切れで、アマゾンでは長いことプレミア価格になっている。
話している中で「鹿沼の彫刻屋台も本にしたい」となって、これまたずいぶん根性のあることだなあ。


朝食はバイキングではなかった。このほうが楽でいい。
菅野村長は4時50分にモーニングコールを頼んでいた。
始発の新幹線で役場に戻った。朝食抜き。大変だなあ。


帰りは贅沢に新幹線に乗った。がらがら


ただいま〜


このページの写真はフジフィルムのXF1で撮っています

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