女子フィギュアは宮原がショート、フリーともに自己ベストを更新しながら4位。3位のオズモンドに演技構成点をあげすぎじゃないかと助手さんは文句を言っていた。
確かに、上の採点表を見て分かるように、体育会系でバンバン跳んでくるオズモンドのスケーティングのエレガントさ、芸術性?が宮原よりすべての項目で上回っているというのは解せないよなあ。オズモンドの演技構成点は宮原より4.41点も上回っていて、フリーでは金メダルのザギトワよりも上なのだ。
9人のジャッジの採点表を見ると、演技構成点合計が、ジャッジ1はメドベージェワに47.5点、オズモンドに48.25点をつけていてオズモンドのほうが上、ジャッジ6はメドベージェワに49点、オズモンドに45点でメドベージェワの圧勝と、逆の採点をしている。
また、「音楽の解釈」(選んだ楽曲との親和性やそれをスケーティングで表現する能力)について、ジャッジの平均点はオズモンドが9.75点に対して宮原は8.75点と、大きく差がつけられている。宮原のTransitions(要素と要素のつなぎ部分)が8.75と非常に低いのも解せない。まさにその部分こそ宮原の真骨頂だと思うのだが。
助手さんは「宮原やコストナーやワグナー(今大会には出ていない。ドイツ出身のアメリカの選手)はジャンプなんかしなくていい。滑っているのを見ているだけで感動する」と言っているのだが、宮原の演技構成点を見る限り、ジャッジたちはまったくそうは思っていないということだ。
助手さん、さらに曰く「宮原や宇野は、小国町の狛犬みたいなものなのよ。一目見ただけで、分かる人には分かる」
……これだけたくさんの狛犬を見てきた中で、今でも助手さんの心をそこまでとらえている小国町の狛犬というのは、↓これ。
まあ、「わっかるかな~、わっかんね~だろな~」の世界だろうけどねえ。
他にも、これは全然話題にならなかったけれど、ジャンプのスキー板のメーカーが激減しているという件も興味深かった。
ジャンプでは、今でも選手が飛んだ後にスキー板をしっかり抱えてPRする姿が定着しているけれど、平昌ではブランド名が入っている板はフィッシャーとスラットナーのみで、多くの選手が抱えていたピンク色の板には何にも書いてなかった。
あのピンクの板(水滴がデザインされている)を見て助手さんは「私の美意識では耐えられない」と言っていた。そこまで言うか? それよりも、どこのメーカーで、なんでロゴなしなのだろうという疑問がわいてググっていたら、面白いことが分かった。
あのピンクの板もフィッシャーだったのだ。
フィッシャーが資金調達のためにタイアップしているBWT(Best Water Technology)のロゴを入れたスキー板を作り、
それまでスキー板を作っていないメーカーのロゴを入れてはならないとしてきたFISもようやくそれを承認した。
で、スキージャンプの板は、かつてはフィッシャーの他にも、ロシニョール、アトミック、ブリザード、エランなどがあったが、これらの企業はすべてジャンプ用の板製造から撤退してしまった(儲からないから)。
今残っているのは実質3つだけで、
1)
フィッシャー:黄色にフィッシャーのロゴ(フィシャー本家)、ピンク(BWT)、赤(Löffler)
2)
S.K.I.:青(fluege.de)、赤(Sport 2000)の下請け製造として
3)
スラットナー:エラン廃業後に事業を継承した唯一のスキー板専業メーカー。エランと契約していた高梨沙羅やプレブツ弟らは今はスラットナーの板で飛んでいる。
エランがスラットナーに変わったことは知らなかった。
エランはスロベニアの企業で、スロベニアのジャンプ選手・プレブツ兄弟はエランと契約してエランの板をはいていた。
しかし、エランの経営が傾いて、有名選手だった兄は契約解除された。
で、今ではプレブツ兄はフィッシャーを、弟はエランを継いだスラットナーをはいている。スロベニア人にしてみれば、スラットナーをはかない兄は裏切り者なのかしら?
なんだか『陸王』のこはぜやとアトランティスの関係を思い浮かべてしまった。
で、この話を掘り起こすきっかけとなったピンクの板は、BWTの広告用にフィッシャーが作ったわけだが、あのピンクは、
BWTが出しているマグネシウムミネラル水のイメージカラーで、水滴の模様もそれだったのね。普段の大会(五輪以外)では、板の下のほうに商品名が書いてある。
で、オリンピックではワールドカップよりもスポンサーの広告規制が厳しいので、BWTのピンクの板からロゴマークは消えている、というわけだ。
いろいろ事情があるのね~。
というわけで、スキー板にお洒落なデザインを期待する助手さんは、とうてい無理なことを期待しているわけだ。