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のぼみ~日記2018


2018/10/2

X90を手放すことになってしまった


我が家の車はプジョー307SW(2000cc。購入時の車輌金額37万5000円)とX90(1600cc。中古で購入時は35万円)の2台だが、X90は平成8(1996)年11月登録なのですでに22年経過。だいぶ前から毎年「13年超の車への増税いじめ」対象になっていて、乗らなくて置いているだけでもとんでもない税金を課せられる。
自動車税は毎年45400円。重量税は18年超でさらに増税され37800円。合計で83200円。
ちなみに、同じ車重で1600ccの車が13年未満であれば、それぞれ39500円、24600円(エコカー認定なら15000円)だから、19100円も増税されているという不条理。
毎年、納税時期のたびに憤慨して日記にも書いてきたが、こんな悪政をしているのは日本だけだ。
それも「自動車メーカーの新車販売促進のため」と正直にいえばいいものを、環境負荷を理由にしているのが許せない。製造の時点で大きな環境負荷を生み出している自動車は、きれいに動く限り長く乗り続けることこそが環境負荷を減らすことになるのは自明の理。
そもそも、うちでは車で毎日通勤しているわけでもなく、買い物などはX90ではなく307SWのほうを使うので、X90を所有していることでの環境負荷なんてほとんどないのだが、持っているだけで年間十数万円飛んでいくのは理不尽極まりない。

いじめられてもX90に乗り続けていたのは、大きく2つの理由からだ。

  1. 買い換える金がない⇒買い換えるよりも増税や燃費の悪さに耐えて乗り続けたほうが安い
  2. 手放すにはあまりにも惜しい魅力的な車である⇒外から見ているだけで幸せになれる車なんて他にそうそうない
1)をさらに説明すると……、

X90をあと6年乗るとすると、

で、合計約76万円。
これにはもちろんガソリン代や消耗品代は入っていない。
タイヤはまだ新しいから、あと6年大丈夫だとしても、だ。

一方、軽自動車であれば、
で、合計約33万円。
半分以下。
X90を手放して軽自動車にすれば、およそ43万円の経費節減ができる。
ガソリン代も当然、軽のほうが燃費がいいので、半額とはいわないまでも6割くらいにはなる。
年間2000km走ったとして、X90の燃費はリッター8kmくらいなので、155円/㍑なら年間3万8750円。
軽がリッター13km走ってくれれば、年間2万3840円。ざっと年間1万5000円、6年で9万円の節約になる。
二人の親の介護のためにこれから車の出番が多くなることを考えると、軽く10万円の差にはなる。
それらを合計すると、軽に乗れば6年間で55万円は節約になるだろう。
となると、買い換えの追加出費が55万円だとすると、それが回収できて節約に転じられるのはおよそ7年目からということになり、60万円以上かけて買い換えたら、今後6年間はむしろマイナスなのだ。
しかし、軽自動車は庶民の足として必要不可欠なので、中古でも値崩れしない。

2)については、金額に換算できない幸福感が大きい。
X90は1995年10月-1997年12月の2年間しか製造されておらず、日本国内での総販売台数は1,348台にすぎない。今も現役で走っているX90は3桁あるかどうか。ちなみにこれを書いている時点でカーセンサーで検索しても全国で3台しかなく、いちばん安いのが支払総額45万円(走行10万キロ)。いちばん高いのは支払総額98.7万円(走行6.8万キロ)
我が家のX90はまだ6万キロに入ったばかりで、日本でこれだけ走行キロ数が少なく、普通に問題なく走るX90はもはやほとんど存在していない。
こんな貴重な車をみすみす手放していいはずがない。死ぬまで乗り続けるつもりだった。その精神的な価値を考えれば、年間5万円くらいの負担増なら黙って呑み込みたい。

しかし、貧乏暮らしの我が家にとっては、増税いじめに耐えるのも限界に近づいていた。
それに、うちのX90は、最近は助手さんが乗ることが増えた。施設に入った母親の世話、病院への送り迎えなどに使っている。助手さんは307SWは大きいから運転したくないというし、介護施設の前の道や駐車スペースは狭いので、僕も施設に行くときは307ではなくX90で行くことがほとんどだ。
助手さんに確認すると、X90は可愛いし好きだけれど、珍しい車だからどうという価値観はまったく持っていないという。
となれば、助手さんのためには、やはり軽自動車のほうがいいんだろうなあ……。
しかし、助手さんはデザインにうるさい。最近のロボコップみたいな車は大嫌い。軽でもその手のデザインが増えたが、そんなのは論外。
好みとしては丸目で可愛いやつとかレトロなやつ。となると、具体的にはダイハツならミラココアやミラジーノ、スズキならアルトラパン……かなあ。
当然、新型は高くて買えないので、買えるとしたら10年落ち、よくて8年落ちくらいだろう。

ダイハツ ミラココア(2010年モデル)



ダイハツ ミラジーノ(2004年モデル)



スズキ アルトラパン(2007年モデル)



で、X90の代わりとなると、やはり4WDにしたい。色もこだわりたい。あまりに古い車では燃費も悪そうだし修理に追われるかもしれない。せいぜい10年落ち、できれば10万キロ以下。出せる金は頑張っても40万円くらいまでか……と絞っていくと、そんな車はないのだ。
たまに気晴らしというか、気分転換にネットでそんな車を探してみるが、どれも50万円を軽く超えてしまう。特に4WDは壊滅的にない。
50万円も60万円も出すなら、増税に耐えて、X90を「うちの車」にし続ける満足感を選ぶ。

ところが、昨日たまたま「お? これは?!」と思う車を見つけてしまった。
10年落ちのアルトラパン4WDで7万キロ台。色もいい。それが17万円(車検をつけて総額24万円)というのだ。X90に数万円の下取り価格がつけば、出費は10万円台まで抑えられる。となれば、来年中にその出費は回収できてしまうではないか。
こんな破格の車はまずない。「修復歴あり」とあるが「軽微なものなので走行には問題ありません」と書いてある。
店に電話してみると、「出したばかりだからまだあるよ~。見に来る? いつ?」と、なにやら中国人っぽい人が出た。
店のオーナーなのか? それともバイトの中国人なのか?
一抹の不安を感じながらも、これはすぐに売れてしまうなと思って、助手さんと相談し、急遽、埼玉まで見にいくことにした。


ランチは高速を降りてから取った。何年ぶりだろう、ガストなんて。安いけど十分いける味だった


インド人の社長ときれいなラパン



その中古車屋はインターを降りてかなり走った場所にあって、途中、田園風景を見ながら走った。日光の我が家の周辺とあまり変わらないくらい田舎だ。
到着すると、事務所小屋の戸は鍵がかかっていて誰もいない。電話すると、「離れた場所に置いてあったから、今、準備してたね。このへん走れるよ~。10分くらいで戻るよ~」とのこと。
10分も待たずに現れたのは中国人ではなく派手なズボンをはいたインド人(多分……スリランカとかネパールとかの可能性もあるけど、訊かなかった)。渡された名刺にはカタカナ3文字の名前だけ書いてある。名前なのか名字なのか……。
すぐに鍵を渡されて「そのへん走ってきて~」と、えらくゆるい。同乗するわけでもない。
写真で見ていたので大体分かってはいたが、思っていたよりずっときれいだった。
中も広々していて、5ナンバー1600ccのX90よりずっとゆったりしている。
助手さんを助手席に乗せて、さっそく走ってみる。
エンジンがちょっとうるさいのと、出足がもたつく感じが気になる。でも、普通車と比較してはいけないんだろう。
速度が出てからはぐんぐん走るし、直進では安定感もある。
カーブではステアリングの応答性がだるいし、挙動がまだちょっと慣れないが、こんなものなのだろう。ハンドリングが甘いのはほとんどの国産車がそうだから、仕方がない。
X90もそうだったので、ステアリングの口径を少し小さいのに替えたらよくなったのを思い出した。
この車はエアバッグ付きだからそうはいかないが、軽だし、グイグイ走らせるわけじゃないから、まあいいか。安全運転をするようになって、むしろいいかもしれない。

室内がお洒落だし、広いので、それだけで楽しい。X90は外から見ている分には楽しいが、乗ってしまうと狭いだけで、インパネなどのデザインの遊びはないから、それに比べると圧倒的に気持ちがいい。
これはもう買うしかないよなあと、即決した。

店に戻って、エンジンルームを見たり、「修復歴ってどこ?」と確かめたり、いろいろチェック。
修復歴というのは、助手席ドア上部の小さなかすり傷のことだった。錆びもちょっと出ているが、言われるまで気づかなかった。
なんだ、修復歴じゃなくて「傷」じゃないの。修復してないわけだし。
「これは目立たないようにきれいにしておくよ~。エンジンもしっかり整備して、オイルも替えるから、今より軽くなるよ~」と社長。
ホイールが汚らしいなあと言ったら、中古のアルミホイールとスタッドレスタイヤのついた4本を無料でつけてくれるという。
「これだって買えば2万円はするよ~。ただでいいよ~」
おお、気前がいい。
整備簿なども見せてくれた。前の所有者は秋田県のあゆみちゃん。やはり女性オーナーか。あゆみちゃんは痩せていたのか、運転席シートのへたりなども感じなかった。
「買ったのは千葉の巨大なオークション会場ね」と社長。
とにかく開けっぴろげで好感が持てる。
X90の下取りについても、すぐに値段を出してくれた。他であたってみていないので、とりあえずその値段で下取りしてくれることだけを確認して「もし、納車までにぐんと高い値段をつける人が現れたら、そっちに売ってもいい?」というと「だいじょぶよ。問題ない」とのこと。
というわけで、商談成立。
決まった後に「2日前に(ネットに)出したばかりだけど、もう3人から問い合わせあったよ。でも他の2人は土曜と日曜に来ることになってたね。金曜に来た人(僕らのこと)が勝ちだね」
それ早くいえばいいのに。

他に展示してあった車のほとんどが軽自動車だった。どれも安い。
訊くと、先月店を立ち上げたばかりなので、今は相場より10万円以上安くつけて、とにかくお客を呼びたいのだという。それは僕らにとってすごくラッキーだった。

そこまではポンポンと話が進んだのだが、帰り道、X90を手放すことが決まったことを改めて噛みしめてしまい、胃が痛くなってしまった。ぼ~っとして危ないので、助手さんに運転を代わってもらったほど。
この精神状態から回復するにはかなり時間がかかりそうだ。

この車を手放すのか……と思うと辛すぎる



タヌパックブックス


↑エントロピー環境論を子どもから大人まで伝えたいという気持ちで書いた、これは私の「遺言」です。



更新が分かるように、最新更新情報をこちらの更新記録ページに極力置くようにしました●⇒最新更新情報
  


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