2014/08/011

オニヤンマの産卵 と ぷぺ! と Jane Jane



雨の合間を見て涼風号MarkIIで沢の点検。
まだ流入口は無事で、水が流れ込んでいる。
流入口すぐのところでオニヤンマが産卵していた。
しかし、この沢はもうすぐ上流側を完全に閉められて、干上がってしまうかもしれない。
ヤゴにまでなれるのだろうか。


かわず庵の玄関前にイガが落ちていた。上を見ると……


もうすぐ秋なのだな。夜は秋の虫が鳴き始めているし


今日の空

今日のオマケ

「ぷぺ!」とJane Jane


『ジョン・コルトレーンと女子高生』というブログネタをFBでシェアしているFB友達(画家のOさん)がいて、ついつい読んでしまった。
ブラスバンド部員らしき女子高生たちが電車の中でこんな会話をしていたというお話。
「顧問の〇〇がさあ、これを聞いて勉強しろって、ジョンコルトレーンっていう黒人のCD貸してくれたんだけどさ~、メチャクチャ吹いてるだけでさ~、も~、うるさいんだよね~」

「あんたなんかいいわよ。わたしなんかマイルスとかゆう黒人でさ。時々「プペ!!」っていうだけなんだから」

「でもさ~、一番悲惨なのは〇子よね~。キースなんとかいう白人のピアニストでさ、妙な喘ぎ声上げながら弾いてるの。もうキモくてキモくて鳥肌たっちゃったわ」

「やっぱ音楽聴くんなら嵐よね~。センスが違うわよね~」

「よね~」
これを書いた「ドラびでお」氏は、本名は一楽 儀光(いちらく よしみつ)といって、最近までドラマーをしていたが、腰痛に耐えられなくなり現役引退したという。
引退後の今は、山本製作所の電子デバイス開発部門「tkrworks」とともに開発した新楽器「DORAnome」の演奏活動をしているそうだ。⇒こんな感じのものらしい。
昔(僕が高校生の頃)、キース・エマーソンが舞台上でなんかこんな感じのことをやっていたような……。

で、FBではこのネタをめぐって、画家のOさん(女性)と占星術ライター(??)のAさん(女性)が長い長いチャット状態になり、い~~っぱいコメントを書いていて、そのコメント群のほうが面白くて、ついついこれも最後まで読んでしまった。
以下はOさんの膨大なコメントから抜粋。
あたしが嫌だなあと思うのは、若い子たちが自分が理解できないことに対して畏れや敬いを持たないってことです。
「これがわからない自分が無知なだけじゃないのか」と考えたり「自分にわからないものは世の中ににいくらでもあり、今わからないからってそれはくだらないものであるとは限らない」「自分はこれから進歩するんだから感性だって変わるはずだ」ぐらいのことは考えられるべきでしょう。
権威というのは歴史とくっついている価値観だけど、それは進化を信仰することなので。もしも人間は進化なんかしていないってことになれば、歴史の後ろに連綿と続く価値観も軽くなっちゃいますね。事実以上のものってなくなっちゃうね。

若者は本能的に権威を憎むけど、そのうち理解するようになる。それが今までの常識だけど、そうじゃなくなるかもしれません。「教養」が共有できない世界が来れば、ピカソはへたくそで、ルノワールはデブばっか描いてた気持ちのわるい変態絵描き、ってことでOK!ですわ。


いやあ、楽しませてくれるなあ、みなさん。

僕は元ネタの女子高生の会話は作り話ではないのかと思ったのだが(できすぎているから)、多少「盛っている」としても、ほんとにあったのかもしれない。
3匹目の猫を飼うことになったら、名前は「ぷぺ!」にするか……とか思ってしまった。



「若い子たちが自分が理解できないことに対して畏れや敬いを持たない」というのはいつの時代でもそうなのだろうけど、今は特にその傾向が強いかもしれない。

僕は小学校高学年くらいまで、美術、特に絵画については興味が持てなかった。
それが「あれ? もしかして絵って面白いのかもしれない」と思ったきっかけはパウル・クレー展が東京であって、それを見に行くというお袋が見せてくれた画集の中の『さえずり機械』という作品だった。
『さえずり機械』パウル・クレー
感動とまでは言わないが、なんかいいなあこれ、なんだろう、この「いいなあ」って思う気持ちは……と。
恋に目覚める少年のような心の動きがあった。

(この作品に感動している人は他にもいっぱいいる↑。実際に作ってしまった人も……)


音楽はもっと晩稲だった。
2歳10か月でカナダ人の音楽教師(シスターだったらしい)から音感教育を受け、4歳でヴァイオリンを習ったが、とにかくお袋が独善的に押しつける「音楽教養主義」みたいなのが嫌で、小学校に上がってからはずっと音楽に興味が持てなかった。
それが小学校6年生のときに放送部で朝礼の前に行進曲のレコード(『双頭の鷲の旗の下に』)をかける係をやってからマーチ音楽にかぶれ、スーザ作品集をソノシートで買ってもらったのが音楽が好きになるきっかけだった。
中学生でサイモン&ガーファンクルとオフコース。
それからはずっと美しい声(男声)のPOPコーラスにかぶれていた。

……で、ジャズの話。

ジャズという音楽ジャンルについては、僕はずっと理解できなかったし、理解しようとも思わなかった。
子供のときに叩き込まれた音感が、いわゆる教会旋法で終わっていたので、普通の長調と短調以外のメロディは「ドレミで歌えない」というところで困惑する。それこそ「ぷぺ!」や「滅茶苦茶でうるさいだけ」と感じるものが多かった。要するに「メロディのない音楽なんて何が楽しいの? そんなのただの『音』じゃん」と思っていた。
それが、「あれ? ジャズってかっこいいのかも」と思ったのは、ナベサダがやっていたFM番組『My Dear Life』で、鈴木良雄をゲストに迎えて、鈴木良雄のオリジナル『Sleep My Love』というのを聴いたのがきっかけだった。
ドレミでは歌えないテーマだが、すごくかっこいい。聴いていてゾクゾクする。
ほぼ同時に樋口康雄を知り、大野雄二が作曲するかっこいいCM音楽(特にFMで流れていたAKAIのシリーズ)にもショックを受け、俄然、ジャズ的な要素にはまっていった。

樋口さんの作品群の中でも、「かっこよさ」ではピカイチの作品↑


自分がやっていたバンド活動(S&Gやオフコースのコピーから始まっていたので、基本は歌とギター)のほうでも、9thやsus4といったテンションに痺れ、デビッド・クロスビーによってEm9の洗礼を受け、ローラ・ニーロにadd 9の緊張感を教えられ……。
(実は、今思えばこれはあんまりいい影響ではなく、歌のほうはもっとドレミファ旋法で「歌える鼻歌メロディ」の美しさを追求すべきだったのだが……)

……こんなふうに、歳を取って、昔を懐かしむ時間が増えた。
仕方がないことだとは思う。
今の日光に引っ越すことになり、資金を得るために百合丘に持っていた仕事場(木造長屋の一角)を処分したのだが、その際に膨大な数のカセットテープやレコードを処分した。
貴重だと思える音源は、ずいぶん前にDATにコピーしてあったのだが、今思うと甘かった。
当時は価値を感じていなかった音源が、今になって無性に聴きたくなる。あの録音はどこかに残っているかな……と、DATテープの山を引っかき回すこともある。

『タモリ倶楽部』で、日本で唯一、カセットデッキを製造し続けているTEACのショールームに、出演者たちが昔のカセットテープを持ち寄って聴くという企画の番組を見た。
「高速道路ぶっとばしBGM」とか書いたテープを持って来たのは泉麻人。
当時のヒット曲が入っている。
でも、そんなもの、今は「YouTubeで聴けるじゃん」というのが僕の感想。
そのカセットテープの存在を「物」として懐かしむ以上の意味はない。

みうらじゅんは、自分が若いときに400曲くらい書いたというオリジナル曲(ギター1本で弾き語り)の入ったテープを持って来ていた。
これは感心してしまった。あの人はやっぱりただ者ではない。
「好き」とか「面白がる」も、みうらじゅんくらいに徹底的にやるとプロと呼べる。

ちなみにうちにはもう再生可能なカセットプレイヤーは1台もない。DATデッキは2、3台残っているのだけれど、たまに残されたテープを再生するためだけに使っていて、新たに録音はしない。あたりまえだな。
おかげでDATやMDの未開封テープがかなり残っている。皮肉だ。
レコードプレイヤーは、多分動くだろうというのを1台だけ残してあるが、物置のいちばん奥に入れてあって、もう一生、引っぱり出すこともないだろう。
アナログレコードのほうがデジタル録音よりいい音だ、と感慨にふける趣味も持ち合わせていない。自分の聴力ががっくり落ちていることもあるし。

我が家に今でも残っているレコードは十数枚くらいで、そのほとんどは自分の曲が収録されたものとか、マイナーすぎてCD化もされていないような(ちゃんと調べればCD化されているものがほとんどだろうけど)もの。

今、後悔しているのは、レコードのコピーなんかはどうでもよかったから、自分たちの生演奏のテープとか、そういう、無二の録音物のコピーをしっかり残せなかったこと。
何とかの法則で、今思うと貴重なもの、残しておきたかったものほど喪失している。

高校1年生くらいのとき、学校の階段下で、放課後、ラジカセを回して録音した演奏とか……。

↑これは聖光学院時代、自分のバンド「巨蕭(きょしょう)」の練習風景。1971年くらい。
中学2年(1969年)の秋、卒業生(8年先輩)のオフコースが学園祭の閉会式間際に飛び入り演奏したのを聴いて衝撃を受け、翌日すぐにオフコースのコピーバンドを結成。
当時のオフコースはPPMのコピーなどをしていたから、僕らはオフコースを通じてPPMやバカラック、ビートルズ、ニール・セダカ……などなどを知ることになった。
これは『Jane Jane』というPeter,Pual & Mary (PPM)の曲。
小田さんのパート(Maryのパート)を歌っているのが僕。

僕らはオフコースの演奏でこれを知ったので、本家のPPMの演奏を聴いたのは後になってからだった。
今はYouTubeで動画まで見られる。すごい時代だ。

↑本家PP&Mの『Jane Jane』



上智で非常勤講師をしていたとき、初期では3回くらい講義できたので、1回目はそういうのを学生に聞かせて、こんな感じで俺は音楽を一生のテーマにしようと決めていったのだよ、と語ったりしていた。
オフコースが歌った『Jane Jane』(1969年の録音)は必ず最初に聴かせた。その後に上の、聖光学院時代にオフコースをコピーしていた自分たちの演奏を聴かせ、樋口康雄にかぶれていったきっかけとなった『遠い海の記憶』(歌は石川セリ)を聴かせ、樋口さんの実家二階で一緒に練習したときのテープを聴かせ……。
最後はビクターでデビューしかけたとき、デビューアルバムに収録されるはずだった『Go Away』という僕のオリジナルを聴かせて、こんな風に若気の至りで人生を失敗したのだよ、と語る……。

それも数年続くと自分があまりにも惨めになってきて、やめた。
そのとき、高校1年生のときの演奏を、授業では1曲まるまる聴かせるのはしんどいなと思って、フェイドアウトさせる編集をしたのだが、今は元テープが喪失して、その、途中(というか、出だし)で終わってしまうコピーしか残っていない。↑

今、ちゃんと1曲分聴きたいと思っても残っていない。


で、話が脱線したが、再びジャズの話。

15年くらい前、鬱病と金欠で死にそうになっていたとき、今は亡き永井明さんに誘われて、四ッ谷のバーで行われた小さなパーティに行った。
そこで、僕のことを心配した(のだと思う)永井さんに、朝日新聞社の穴吹史士さんを紹介されて、それからしつこく何年も穴吹さんに本を送り続けたのがきっかけで、朝日新聞デジタル版でコラムを書くことになり(穴吹さん個人が勝手にやっていた梁山泊的なコラム子集団AIC。原稿料はどれだけ書いても2000円。朝日のOBは無料奉仕だったから、まだ2000円もらえるだけよかったが)、そこから少しずつ回復していって、岩波や講談社ともつながって……という、今思えば重要な一日だった。



そのパーティには大野雄二トリオが呼ばれて生演奏した。
大野雄二(pf)、鈴木良雄(b)、村田憲一郎(ds)というトリオ。
大野雄二も鈴木良雄も大好きなミュージシャンだったので、それを聴くために無理をして行ったのだった。(当時は本当に金がなくて、会費の1万円を出すのは大変な決意が必要だった)

大野雄二は、AKAIのFM番組のCMソング、CM音楽をいっぱい作っていて、大好きだった。
ビクターから「アンサー」でデビューしかけたとき、丸井の20周年だかのキャンペーンソング『丸井からありがとう』を歌ったのだが、その作曲が大野さんだった。
その話を大野さんにしたけれど、全然覚えてなかった。
「いっぱい作ったからね……」
そんなのいちいち覚えていない、と。

鈴木良雄さんには、「ナベサダのFM番組『マイディアライフ』で、鈴木さんがゲストのとき、鈴木さんがナベサダさんと一緒に生演奏した『Sleep My Love』という曲が、僕が「ジャズっていいなあ。これこそ純粋な音楽かもしれない」なんて考えを変えるきっかけになったんですよ。だから鈴木さんは僕をジャズに引き入れてくれた人なんですよ」と言った。(初対面だったから、さすがに愛称の「ちんさん」とは言えなかった)
ところが、これまた「全然覚えてない」と言うのだ。
「こういうメロディですよ」
って、テーマをハミングしてみせたんだけど、それでも「思い出せない」……と。

嘘だろ。自分で作曲して、あのナベサダと一緒に演奏して、番組で放送もされた曲の曲名もテーマも忘れているなんて、と、びっくりした。

でも、本物のアーティストって、そういう人たちなのかもしれない。
常に今を、これから先にどんな作品を作れるか、何ができるかを考えている。昔のことは忘れてもいい。


形あるものは必ず滅す。

自分の存在も。

僕はもう長いこと、自分がどう死ぬかというテーマでずっと悩んでいる。
できればぎりぎりまで楽しんで、最後は極力苦しまない、周囲にかける迷惑も少なくした形の半自殺みたいなのがいいのかな、とも思う。病院でパイプにつながれて……というのだけは嫌だ。
で、その寸前まで「新しいもの」を作り続けたいと思う。
社会的には無視されても、自分の心の中では「現役」でいたい。
今も身体がどんどん動かなくなっているが、指だけはなんとか動かせるようにしておいて、死ぬ直前まで現役で創作し続けたい。
ナベサダとかステファン・グラッペリは、生涯現役で一流のプレイをしている(いた)。
僕にとってはもう、神様みたいな存在だ。

どこまで頑張れるのかなあ……。

とりあえずは、今やっている『デジタル・ワビサビ』の音楽アルバムを完成させよう。


『Threshold: Whispers of Fukushima』の予告編第2弾が完成↓

Threshold Whispers of Fukushima trailer vol. 2 from Toko Shiiki on Vimeo.









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