親父が満90歳の誕生日を迎えた。
ウルトラライトダウンのジャケットとベストをプレゼントとしてきれいに包装して、お菓子屋さんでクッキーなどを買って、デイホームへ。
去年はケーキを買ってもらい、賑やかに祝ったのだが、今年は静かだった。
親父の誕生日イベントがあるかなと思って、余興用にEWIを持参していたのだが、そういう雰囲気でもない。
プレゼントはみんなの前ではなく、部屋で渡した。
試着させると、同じ2XLなのに、ベストはOKだったがジャケットは小さすぎた。
ユニクロの3XLといわれていたのだが、Amazonでは類似品しかなく、いちばん大きいのが2XLだった。これなら女性用ではなく男性用の2Lくらいのほうがよかったのかもしれない。
よく見ると、同じ商品の袖ありと袖なし(ベスト)を買ったのだが、製造元が違うようだ。
仕方なく、袖ありのほうは義母に回そうか、なんてことになり、こっそり義母に着させてみたが、やはり小さい。
老人は背中がまるまり、お腹が出て、首も前に出てしまっているので、身体が小さくてもかなり大きめのサイズにしないとキツいのだ。
身長150cmもなさそうな義母に、いちばん大きな2XLを着せても小さいのだからどうにもならない。
結局、回り回って「私が着る」と助手さんのものに。


これと↑


↑これを買ったのだが、袖ありのほうは2XLでも小さかった。
ユニクロ本家で買い直しか……。高いんだよなあ、ユニクロは。
親父は今日も同じことを何度も言う。
今日は誕生日だよと言うと、え? という顔をして、ようやく、「ああ、そうか」と分かったようだが、去年の誕生日にここでお祝いしたことは忘れていた。
「いくつになったと思う?」
と訊くと、しばらく考えて、「この前、米寿はやったから、92くらいか……」という。
数日前に同じことを訊いたときの答えとまったく同じだ。
「満90だよ。日本人の男の平均寿命よりずっと長生きしているんだよ」と教えたが、「そうか」と相づちを打つだけ。
このところすべての会話がこの「そうか」で終わる。
どこまで理解しているのか分からない。
居間に、ウクレレ教室のときいちばん嬉しそうにしているおばあさんが来ていた。彼女はこの前のウクレレの日にはいなかったので、
「お久しぶりですね」と声をかけると、嬉しそうに「あらまあ」と答える。彼女のために、持参したEWIを吹いてあげた。
すごく喜んでいる。
そのうちにみんなが集まってきた。
親父も部屋から出てきて居間に座った。
隣の部屋にいた他のおばあさんも、義母も揃った。他にもう二人いるが、その二人は寝たまま動かない。死んでいても気づかないなあ、これは。
(ちなみに親父と義母は今でもお互いが「親戚関係」であることに気づいていない)
じゃあ、秋だからなんか秋の歌でも……と、もみじ、や、小さい秋みつけた、とかを吹いた。
一緒に歌うおばあさんもいる。こういう場所では、ギターのようなコード楽器よりメロディだけのソロ楽器のほうが、歌の伴奏?としてもいいのかもしれない。
ばあさんたちは、昔の知らない歌謡曲とか軍歌とかをリクエストしてくるので油断ならない。
軍歌は親父がいくつか歌っているのを子供のときに聴いていたので、なんとなく覚えているものもある。
「見よ落下傘、空を行く~」という歌は、何度か聴いていたが、親父が歌っているのを聴いただけで、もちろん本物、というか、原曲は聴いたことがない。
加藤隼戦闘隊とかもたまに歌っていたかもしれないが、よく覚えてない。
起床ラッパに歌詞をつけたやつもよく歌っていたなあ。
起っきろよ 起っきろよ みんな起きろ~ 起きないと兵長さんに叱られる~♪
……みたいなやつ。
そのメロディを思い出しながら、昔、ファンファーレを作ったことがあったっけ。これ↓
マーチとか軍歌とかには、メロディが分かりやすい名曲がいくつもある。
小学校の鼓笛隊では軍艦マーチをやらされたが、あれも名曲だよなあ。
軍歌ってところが悲しいんだが……。