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のぼみ~日記2019

2019/03/24

「東北魂」とは何か?

小説版『神の鑿』は現在250枚を超えて、ようやく利平が沢井八幡神社の波乗り兎像を彫ったあたりまできた。
ここからいよいよ幕末の薩長クーデターになるのだが、戊辰戦争のときの東北は悲惨だった。
白河小峰城が焼け落ちた後も、羽越連合軍は反撃を何度か試み、「官軍」(錦の御旗がそもそもインチキだった説を重視してカギ括弧付きにしておく)と衝突した街道沿いの村村はことごとく焼き払われ、多くの村民が巻き添えを食って殺された。
奥羽街道(仙台道・江戸道)の根田・小田川・太田川・矢吹など。会津街道(白河街道)は上小屋・大谷地など。羽鳥街道は真名子・羽太・柏野・米など。棚倉街道には金山・番沢など。ほかの道筋にも兵士が屯した村々が散在し、村民は生きた心地がしなかったことだろう。
戊辰戦争の9年後、明治天皇の東北巡行に同行した官僚は、白河から北へ向かう奥州街道の村々が戊辰戦争に巻き込まれて凄まじく荒廃しているのを見て、「憐ムベキ者多シ」と悼み、天皇にはこの様をお見せしたくないと記録しているという(『東巡録』より)。

こうした史実を調べ直していくうちに、自分のルーツが白河、棚倉エリアに深く関わっていたことを改めて認識した。また忘れないうちに書き留めておこう。

私(能光)の実母・能子は昭和3(1928)年に群馬県佐波郡伊勢崎町で蝋燭問屋の主・細野智之助と香の間に生まれた4女。上に兄が2人、姉が3人。下に妹が1人の7人兄妹の6番目。
この母親・香は、福島県と栃木県の県境にある「境の明神」で茶屋をやっていた石井家から嫁いでいるが、そのまた母親(私から見ると母方の曾祖母)は「小峰城最後のお姫様」で、「幕末、まだ子どもだったときに棚倉城に移り住んだ」と聞かされている。
これはどういうことなのかずっとモヤモヤしていたのだが、どうも陸奥白河藩の第8代藩主、陸奥棚倉藩の藩主である阿部 正静(まさきよ)の最初の正室のことらしい。

阿部正静 Wikiより

正静の最初の正室の名前はWikiなどを見ても分からなかったが、「須田津次郎の娘」とある。
須田津次郎は、阿部正静の父・阿部正外(あべ まさと/まさとう)の兄にあたり、次男だったので須田家に養子に出されている。
阿部正外
阿部正外(Wikiより)


ここまでをまとめると、

第4代藩主・阿部正備⇒養子が阿部正定(まささだ=白河藩第5代藩主)
正定の弟が津次郎(須田家へ)と正外(江戸幕府大老井伊直弼から重用され、老中へ。第6代白河藩主)

正外の子・正静の最初の正室が津次郎の娘

正静は津次郎の娘の後に、阿部正備の娘を正室に迎えている。
この経緯がよく分からないのだが、最初の正妻はまだ10代の子どもであり、戊申戦争時の混乱の中に巻き込まれるのを不憫に思って離縁したのかもしれない。
それで津次郎の娘が境の明神の石井家に引き取られ(養子? 再婚?)⇒その娘が母・能子の母・石井香。石井香は群馬・伊勢崎の蝋燭問屋(伊勢崎で2番目の豪商で、大きな屋敷内に何人も使用人を住まわせていたという)細野家に嫁ぐ。⇒その6番目の子が私の母・能子

……ということらしい。
「小峰城最後のお姫様」が、なぜ境の明神「南部屋」の石井家に行ったかというと、どうも阿部家と石井家とは「南部藩の縁」という細い糸でつながっていたらしいのだ。
「小峰城最後のお姫様」の父・須田津次郎(正外の兄)の母は、陸奥八戸藩の第8代藩主・南部信真の娘だった。一方、境の明神南部屋の先祖・石井七兵衛は、屋号が表すように南部藩の家老だった。
石井七兵衛が家老だったとき、陸奥国で産出した金を幕府へ供出する際に産出量をごまかしていたことが発覚し、その責任を七兵衛が一手に受けてお家取りつぶしを免れた。藩主は浪人になった石井家の離散消滅を不憫に思い、白坂明神前に持っていた土地を与えて、ここで茶屋を開けと計らったのが茶屋「南部屋」の始まりで、元和3(1617)年のこと……というのは、以前にもこの日記で書いた通り。


同族結婚の上、養子も入り乱れるので、やたらややこしい↑ 正定・津次郎・正外は実の兄弟。
津次郎の娘は幼少時に正静と結婚させられるが、戊辰戦争あたりで巻き込まれるのを恐れてか石井家へ。
正静は白河藩7代(最後)であると同時に棚倉藩の阿部家初代でもある。

……というわけで、私の先祖が最後の白河藩主だった阿部家につながっているらしいことは分かった。

ちなみに実父は添田というが、ルーツを見ると西白河郡の信夫村、新城村、岩瀬郡広戸村、須賀川町……などなど、これまた戊辰戦争でひどい目に合ったエリアである。
添田家のルーツ
存命の人名が記されている部分はぼかした

会津にとって「先の戦争」は太平洋戦争ではなく戊辰戦争だ、とはよく言われることだが(ジョークではなく)、会津だけでなく、白河や棚倉周辺でも、戊辰戦争の恨みを簡単に忘れてはいけないんじゃないか。忘れちゃうから長州閥の現政権からいいようにされ、飼い慣らされているんじゃないか。
「東北魂」は、メディアに美化された復興物語だけじゃなくて、二度と瞞されない、利用されない、自立心と誇りを持って、土地に根ざした生き方をする、ってことじゃないのか。
……な~んてカッカしてしまうのである。

ちなみに助手さんの母方の祖先はバリバリの幕臣で、日本人なら誰もが知っている幕末の有名人を××した人物。
そっか、助手さんには逆らえないのも無理はないし、二人とも「反長州閥政権」なのも頷けるわ。
今こそ羽越同盟再結成で腐敗しきった長州閥政権を……なんて気勢を上げると、たちまち捕まりそうだが……そもそも、時すでに遅し、だろうな。
でも、我が家の東北魂はまだまだ消せないぜ。
な~~んて。







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