日光カエル図鑑(4)

ニホンアカガエル

ニホンアカガエル
2012/08/29 日光市の自宅敷地内にて
分布
北海道、高山地帯を除く日本全域。ヤマアカガエルより低地にも棲むが、完全に混じり合っている地域もたくさんある。川内村にいたときは家の周囲(標高460mくらい)では、ヤマアカガエルのほうが多かったが、日光に来てからは(標高250mくらい)アカガエルといえばニホンアカガエルを見ることが常だったが、その後、住宅地などでもヤマアカガエルを見ることがあったので、完全に混在していることが分かった。

大きさ・容姿
40mm~80mmくらい。。

ニホンアカガエルの体色は比較的明るく、側線がまっすぐ↑

体色は明るい茶色。ヤマアカガエルに比べると色が薄い。
ヤマアカガエルとニホンアカガエルとの見分け方は、背中の測線が、ヤマアカガエルは肩の後ろあたりで折れ曲がっていることと、喉の下にはっきりした斑模様があること。ニホンアカガエルは測線がほぼまっすぐに伸びていて、体表の色もヤマアカガエルよりは明るめ。しかし、よく見ないとどちらかすぐには判別がつかないものが多い。パッと見では、ニホンアカガエルのほうが若干スマートで、都会派?の印象がある。
ちなみに、カエルの和名はかなり統制が取れていない。ヤマアカガエルに対しては「サトアカガエル」とでもつけたほうが分かりやすかった気がする。
ヤマアカガエルを「ヤマアカ」、ニホンアカガエルを「ニチアカ」と短く呼ぶ人もいるが、「ニチアカ」ではなんだか日本赤軍みたいで……。

産卵
ヤマアカガエル同様、早い時期から繁殖活動を始める。
しかし、卵の段階ではヤマアカガエルとニホンアカガエルを区別することは、見ただけでは難しい。
手で掬い上げて、しっかり形を保つのがニホンアカガエル、崩れる程度に柔らかいのがヤマアカガエルという判別法もある。


孵化~オタマジャクシ時期
ニホンアカガエルのオタマの背中には一対の黒い斑点があるというのだが、実際には自然環境中で泳いでいるのを見てそれを確認するのはかなり難しい。

変態
変態直後は色も側線もはっきりしていないものが多いから、見分けが難しい。

例えば、この子がヤマアカガエルかニホンアカガエルかを見分けるのは困難↑


↑大人になっても、自信を持って同定することはかなり難しい。例えば、これはどちらなのか迷う。捕まえてひっくり返し、喉の下に黒い斑点があるかどうか確認すれば分かるだろうが……(2012年8月10日 日光市 城山の登山道脇にて)


鳴き声
キョキョキョキョ……というような感じ。しかし、これもヤマアカガエルと聞き分けるのは困難。


性格
ヤマアカガエルが田舎の庶民であるのに対して、ニホンアカガエルは都市部の庶民という印象がある。明るい色とちょっと細身の体つきから、ヤマアカよりも「垢抜けた」感じがするからだろう。無論、ただのイメージにすぎないが……。


阿武隈にいたときは、ヤマアカガエル同様「普通のカエル」だと思っていたが、栃木県では絶滅危惧種II類(カエルでは現在最上位危惧レベル)に指定されていると知って驚いた。
どこにでもいるのに……と思っていたのだが、3.11の原発人災以後、田んぼに水が入らなくなった川内村ではアカガエルが激減した。産卵の数で勝負しているカエルだけに、一度、急激な環境変化があると、数が減るのも劇的なのかもしれない。


日光のニホンアカガエル
栃木県レッドリストでは絶滅危惧II類(Bランク)に指定されている。実際、周囲の田んぼや山野を回ってみても、目にすることは少ない。
田んぼでは繁殖期も含めてトウキョウダルマガエルだらけで、アカガエルを見ることはほとんどない。
しかし、山の中や神社の境内、空き地などで、草むらから飛び出したりするので、比較的よく見ることができる。
我が家の敷地内外でもときどき見る。


アカガエルはオタマジャクシの時期が長いため、5月の連休にようやく水が入り、夏には「中干し」してしまうこのへんの水田では繁殖が非常に難しい。
そのため、水田用水路(U字溝)にわずかに溜まっているヘドロ状の水の中に卵を産みつけたりしているのを見かけるが、すぐに干上がったり、干上がるのを免れても田植え前の水路整備で掻き出されたり、水が一気に流れ込んで川まで押し流されたりするので、ほとんどが死んでしまう。

2012/08/10 日光市 城山の登山道脇


ニホンアカガエル
2012/09/03 日光市 自宅敷地内



2012/08/29 自宅敷地内


2012/07/29 自宅付近の沢沿い



2012/07/17 自宅玄関前



同上



2018/07/13 ミニ池にいたミニアカガエル。色からするとニホンアカガエルか

背中の筋が曲がっているのがヤマアカガエル、という見分け方だと、なんともいえない微妙な線?


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ヌマガエル科

 ヌマガエル(「アカガエル科」としているものもある)


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